盛夏に涼風がそよいだ。
向付は、こちの湯引きとイカの細造である。
つまは、紫蘇の花、金糸瓜、青トサカのり、莫大が添えられ、梅肉醤油が脇を締める。
盛り付けた青竹の器が、緑陰を呼び、涼やかさを運んできた。
あしらいにも季節があり、主役との相性が考慮されている。
お湯に泳がせ、氷水に落としたこちは、ひんやりと身をよじり、口中の温度で淡いあまみが引き出されていく。
うっすらと梅の酸味を隠した醤油が、こちやイカのうまみを持ち上げる。
すかさず、常温の菊正宗を啜った。
ああ夏だ。
真夏を心に宿し、感謝が浮かび上がる、「辻留」の7月。
