相席したのは、30代前半の女性だった。
ボーダラインのシャツを着た彼女は,色白の小顔に,ベリーショートがよく似合う。
座って,中居さんが来た途端,メニューも見ずに頼んだ。
「ひやむぎごま汁に、焼鳥をタレでお願いします」。
プロである。
何度も来ているのだろうか?
実に,気っ風がいい。
焼鳥が運ばれた。
だが添えたレモンを、絞ってしまうことはしない。
まず一個の焼鳥だけに、七味をかけて食べた。
七味のかけ方が,まともである。
瓢箪の筒を上下に振ってかけるのでなく,上部を人差し指でトントンと軽く叩いて七味を落とす。
ただものではない。
次の一個は,柚七味を振って食べる。
ここでレモンを登場させたが,絞らずに、レモンの上に鳥を乗せて,軽く押し付け食べた。
見事である。
残り一個はどうしたかというと,七味を少しかけ,上から布団のようにレモンをかぶせ,しばらく放置するではないか。
育てているのか?
私も今度やらせてもらおう。
ひやむぎが運ばれた。
麺をごま汁につけて食べる。
次からが妙だった。
ネギの入った小皿にひやむぎを少し入れ、上から七味をかけてたべるではないか。
パチパチ。
その発想の飛び方に,心の中で拍手した。
汁につける場合と,七味だけのバージョンを交互に繰り返し,後半思いついたのか,焼き鳥に添えられた溶き辛子をつけて食べられた。
そして麺を食べ終わった後に,育てていた最後の焼き鳥を食べて、勘定を払い,悠然と去っていった。
食べ方といい,昼から2800円も使う心意気といい、日本はまだまだ捨てたもんじゃない。
