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実は私「コンビネーションサラダ研究家」なのであります。

だからどんな店に行っても、メニューにあれば必ず頼みます。

単純に、サラダ好きという理由からだけでなく、一つのサラダには、料理という仕事の基本が詰まっていると、思うからです。

サラダがきちんと出来ていないと、決していい店とは言えない。

そんなサラダフェチの私が、東京で一番だと思うのが、ここです。

店で使う野菜は、店主の林真也さんが全国の生産者を巡って、取り寄せていています。

葉は、命を摘みとられているのに、太陽にむけて葉を広げ、根は、大地から養分を吸おうとしているようで、噛んだ瞬間に野菜が叫ぶ。

小松菜は葉が厚く、噛む喜びと味わう喜びを伝え、蕪や人参は、心臓を感じさせる脈動がある。水菜は、普段の腑抜けではなく、その名の通りに噛んだ瞬間に水が弾け飛ぶ。

噛む。噛む。

血脈に、養分が送り込まれる実感に、笑う。

ヴィネグレットの酸味と塩気が、野菜の命を引き出し、我々が生かされていることを自覚させる。

そして土の力を感じさせるこのサラダは、ヴィオワインとの相性も素晴らしいのです。

サラダを褒めると、店主林さんは答えました。

「ありがとうございます。すべて生産者のおかげです」。

 

グリーンリーフ、小松菜、ほうれん草、マスタードリーフ、大根、人参、トマト、黄人参、インゲン、蕪、紅芯大根「