青山「慈華」7/26

食べ歩き ,

青山「慈華」7/26
田村さんの料理には、優しさがあると言われる。確かにそうである。
今回いただいて思ったのは、優しいと感じる奥に潜む、味の骨格である。
上湯や白湯に品格があって、旨味は深いのだが、行き過ぎてない。
雑味がないのはもちろんだが、どの料理も切れ味がいい。
だから余韻が美しい。
それでいながら、様々な自家製発行調味料や自家製油の練れた旨味や香りが控えめに隠れていて、知らず知らずに引き込まれる。
ずるい。
★泡西瓜虲
牡丹海老 発酵西瓜 青花椒油
西瓜水分抜いて皮も塩漬け発酵 。フレッシュな西瓜とカーブを描く西瓜の両者が存在して、ボタンエビに爽やかさと色気を与え、香り引き締める。
★飞尤慈华拼盘 運気の上がる前菜盛り合わせ
豆腐干し紅心大根 ネギ油 豆腐の甘み 切り方
有機野菜紹興酒漬け 大根うまい
シメサバ桜海老xo エビの練れた旨味と香りの中をサバが泳いでいく。化粧の色気。妖艶
アオリイカ実山椒青い豆板醤
稚鮎香り揚げ
紹興酒フォアグラと棗のチャツネ 紹興酒の香りの甘みが品よく煮詰まってフォアグと合う
クラゲと鬼灯
★甲魚冬瓜盅
すっぽんと冬瓜のスープ
上湯とすっぽんと鶏の包子。
一口飲んだ瞬間に、体の力が抜ける。喉に落ち体の細胞の隅々まで滋養が染み渡っていくのが、見える。
淀みのない綺麗な上湯に、すっぽんの滋味がそっと溶け込んでいる。
その分をわきまえた、出過ぎないバランスが見事。
★すっぽんの肝と血の春巻き
田村さんの春巻きは、突き抜けている。
巻き過ぎずゆる過ぎない。
皮が具を巻いているのだが巻いていないような気配もあって、互いが生きた味となっている。
別コラムを参照してください
★黒蒜星鰻薄餅穴子 フルーツガーリック 唐辛子醤 薄餅で巻いて
鰻脂の香りとフルーツガーリックの香り、鰻の勇壮なうま味と唐辛子醤の出会いがよい。
★神奈川産太刀魚 フレッシュハーブ蒸し
台湾バジル ミント 薄餅
ああ、素晴らしい。
太刀魚がはらりと舌の上で崩れると、ほの甘さが広がり、ソースのうま味と一緒になって、高みに登る。後から台湾バジルとミントの香りが放たれ、口の中を涼しい風が吹き抜ける。
ソースにご飯を入れて。
★招牌㳖汤排翅
気仙沼 毛鹿鮫 フカヒレ
白湯に品格がある。優しくマイルドだが、奥深い滋味があって、余韻が長い。この白湯こそ田村さんの真骨頂ではないか。
★香麻辣烤熊
北海道ヒグマ 香り麻辣ソース
ソースがとても素晴らしい。深くなだらかなうま味の中から、様々な香りが揮発して、鼻腔に抜けていく。ヒグマの凛々しい肉を鼓舞するかのようなソースである。
★麻婆豆腐
辛味も痺れもあるが、田村さんらしい優しさに満ちた麻婆豆腐。豆腐は芯まで熱く、肉味噌の旨味が立っている。
★岡山の南高梅 東方烏龍茶のゼリー
口を洗う。清涼と酸味
★风梨甜品
西表島アララガマ農園パイン 果汁エスプーマ 果汁で練り上げたわらび餅
果汁シャーベット
フランス料理で言うところのデクリネゾン。パインを様々な形にして合わせてある。中国料理はデザートが弱いと感じることが多いが、これは他国の料理に負けぬ夢がある。