静寂は、現代の贅沢である。ここには、静けさと青と白しかない。高知「ヴィラ・サントリーニ」である。3年前にお会いした、若き井原尚徳シェフの料理は、湾に見立てた伊勢海老の料理で、ゴーヤスープのほろ苦味がアクセントとして生きていたことを思い出す。静けさに闇が忍び寄るダイニングで、8皿の料理をいただいた。1. 高知産インカのめざめを使ったびっくりトリュフ2. カツオのタリアータ。黒にんにくとと醤油のソース、土佐酢の泡、塩と四万十海苔、春野町キャビア、フェンネルやディルなど、数種類の野菜のガスパチョ添えカツオが滑らか、素晴らしい。香草の香りがカツオの鉄分を華やかにさせる。三日間かけて漉したというガスパッチョの澄んだ味がよく、カツオとマリアージュさせれば、海と山の共鳴が響く。3・フォアグラのブディーノ(フラン)、コンフィした蕪と蕪の葉ソース。蕪の生き生きとしたい香りが鼻を刺す。フォアグラは味支え。カブの甘みと香りを受け止める料理が清々しい。4・ホエーに漬けた黒ムツの炭火焼、ヴァンブランソース、原木なめこ、焼き菜花。別コラムを参照してください参照5・カカオを練りこんだタリアッテレ、猪と四方竹のソース。上にブラックカカオとナツメグがかかっている。甘い香りの中で、イノシシの滋味が笑う。うまい。6・土佐赤牛はらみの炭火焼。別コラムを参照してください7・池上ちかさんが作る土佐ジローの卵と、ご飯8・「こたつ」。干し柿のジェラートと山北みかんのスフレグラッセ、みかんの皮と白チョコレート、マディラ、ルビーポート
静寂は、現代の贅沢である。
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