「ゴーヤは苦手です」。という人は多いと聞く。
だがそんな人も、この店の「ゴーヤチャンプルー」は、するりと食べるという。
その理由を聞くと「きんぴらごぼうと同じで、一晩寝かせるのです」と、店主の玉寄勢さんが答えられた。
ゴーヤが苦手な人は、あの苦味が嫌いだと思っているが、実は違う。
ゴーヤの中にある青臭さと苦味が相乗して、嫌なえぐみを感じてしまうのである。
しかし「TAMA」では、炒めて一晩経ったものを、注文後に卵と炒め合わせて出す。
するとどうだろう。
苦味はあるものの、青臭さは消え、えぐみを感じない。
さらに繊維もこなれて、煮た大根のように柔らかい。
一晩経っているので、味も染み込んで、油とも馴染んでいる。
豆腐にはゴーヤの味が入って、豆腐を食べているのに、ゴーヤの味が余韻として残る。
そして最も良いことは、ご飯が恋しくなることである。
炒めたての青臭いゴーヤチャンプルーは、ご飯には合わない。
だがこれは、ご飯にかけて食べたい! と思わせるのである。
沖縄でゴーヤと呼ぶ蔓茘枝(苦瓜)は、熱帯アジア原産で、江戸時代に中国から渡来した。最も生産量が多いのが沖縄で、宮崎、鹿児島と続く。通年出回るが、夏野菜。熟す前の未成果を食べ、イボがないものや白いゴーヤなどの品種もある。ビタミンCの含有量はレモンの2〜4倍、食物繊維はセロリの30倍、カルシウムは牛乳の14倍、鉄分はほうれん草の2.3倍と、極めて栄養価が高い。
えぐみがなく、ゴーヤ嫌いも魅了し、ご飯にかけて食べたくなるゴーヤチャンプルー。沖縄出身の店主のお母さんからの直伝の味。肉はスパムではなく、塩気の少ないポークランチョンミートを使う