甘い。
想像を絶する甘さだった。
今まで何度も赤ウニを食べてきたが、こんな甘さとは出会ったことがない。
それは「甘い」と発するとこが、恥ずかしくなる甘さだった。
人間の表現限界を超えている。
甘いという浅はかな感覚の、外側にいる。
純粋な甘さと、したたかな、自然の神秘を従えた甘さが共存している。
舌の味蕾に、深く染み込んでいく。
これが赤ウニの底力なのか。
「なにか追加するものはありますか?」
最後にそう聞かれた。
赤ウニをおかわりしたい。
幻ではなかったことを、もう一度確かめたい。
だがやめた。
また会いにこよう。
それまで謎は謎のまま、夢は夢のまま、目覚めない方がいい。
熊本「むら上」にて
