譚さんが逝かれた。

食べ歩き ,

広東名菜 赤坂璃宮さんの譚 彦彬シェフが9月28日に急逝されました。
享年79歳でした。
料理人人生60年。
もうすぐ出版される「赤坂璃宮 譚彦彬 自伝」が出たら、真っ先にサインをしていただこうと思ったいて矢先のことでした。
「これ食べる? 美味しいよ」
一緒に食事をさせていただいても、いつも「あれが美味しい、これが美味しい」と、食べ物の話で、心底食いしん坊な方でした。
蛇、シャコ、鳩、ガチョウ、山羊の胎盤、干しタコ、熊の手など、譚さんから、食材や料理の本質を教えていただいたことは、数限りなくあります。
ある日は、普段は作らない炒飯を、自ら作っていただいたことがありました。
気合を込めて作った璃宮炒飯を一口食べて、「あっ」と、いったまま動けなくなったのです。
二口目をじっくり味わうと、もっと食べたい、早く食べたいという衝動が体の奥底から競り上がってくる。
炒飯の命は香りだということを知った瞬間でした。
それは、「炒飯」という言葉の意味を教えくれる仕事でした。
また僕の還暦の会でも、快く料理を作っていただきました。
虎ノ門横丁に出店をお願いしに行った時に、「前から焼味とエビワンタンそばの店作りたかったんだよね」と、嬉しそうに笑われて、承諾していただいたことも思い出します。
あの笑顔は一生忘れません。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
心よりご冥福をお祈りいたします。