肉まんのおいしさは、手に取る瞬間から始まる。
熱々の柔肌が指に馴染み、手の平にはずしりと体重が乗る。
その感触が、「おいしいよ」と、語りかけてくる。
むむむっと頬張れば、皮の香ばしさが鼻に抜け、「ああなんていい日だろう」と、うららかな気分になる。
特に、寒い日が続く冬に恋しくなる。
ここ「維新號」の肉まんは、戦後に売り出された。
物資不足時にあっても、肉も野菜も妥協せず、最高質の素材を使ったという。
干し貝柱を使い、挽肉ではなく、毎朝塊肉を、包丁で叩いて作った。
値段は高かったが、美味しいものを食べて豊かな気持ちになってもらいたいという、心根が詰まっていたのである。
その気持ちは、今でも変わらない。
半世紀以上を生きたまんじゅうは、今でも熟練の職人が、毎日数百個を手作りしてい流。
赤ちゃんの耳たぶ位の柔らかさと弾力を目指して、季節や温度による違いを、的確につかみ、皮の発酵速度を調整するカンは、昨日今日の職人ではできないだろう。
もっちりとした皮は厚く、包容力があって、なんだか気分を大らかにさせる。
干し貝柱の旨味を抱き込んだ肉汁も滋味深く、肉と野菜のバランスもいい。
戦後から味を受け継ぐこの肉まんを、愛する人と一緒に囓りたい。
銀座「維新號」にて



