なんとしても言葉にしたい。
今僕は、鼻の穴を膨らませながら、コーフンしている。
稀代の料理に出会った。
日本の郷土料理をフランス料理で表現する。
この無謀極まりない試みを食べて、涙している。
質素堅実なる郷土料理を、デカダンス的優美を持つフランス料理に翻訳しようとする無理難題である。
唯一無二の料理が誕生する瞬間に立ち会い、無常の喜びを感じた。
マラソンで2時間を切ったゴールを、間近で目撃した気分でもある。
「星のや東京」の新たなテーマは、「もう作られなくなった日本の家庭料理」であった。
作るのはフレンチのシェフ岡亮佑氏である。
石川県のひねずし、愛媛県のさつま、静岡県の沖あがり、宮崎県のかっぽ鶏、岩手県のウコギのほろほろ、岐阜県のあぶらえ、青森県のきんかもち。
先人たちの智慧によって生まれ、育まれてきた料理は、ひっそりと姿を消しつつある。
もう一度光をあて、料理の本質を理解、咀嚼した上で、再構築された。
元々岡シェフは、青森「奥入瀬観光ホテル」のフレンチで、青森の郷土料理を反映してきた料理人である。
いちご煮、ニシンのいずし、けの汁、イガメンチ、タコの道具煮、南部煎餅などを、見事にフレンチに昇華させた料理に感銘を受け、五回も訪れた。
今回いただいて思う。
孤高の高みに登られたと。
今回いただいて思う。
目の前にある皿が、とてつもなくエレガントで、陶酔を与えてくれるのだから、元の郷土料理を知らなくても関係ない。
失礼ながらも、そう思った。
前段が長すぎた。
料理の個々はまた後日。
写真は順に「ひねずし」、「ウコギのほろほろ」、「沖あがり」、「あぶらえ」。







