液体は、丸く、舌にしなだれた。
カリフラワーには、こんなにも優しい滋味があったのか。
茹でたカリフラワーを、3時間炒めてカラメリゼし、茹で汁を合わせていく。
極少量のクリームを入れるが、フォンもなにも付け足さない。
カリフラワーの力を信じたスープは、ほのかに甘いが、玉葱やジャガイモほど甘くはなく、静かにうまい。ひっそりとおいしい。
飲むほどに心が座っていき、飲むほどに自分を見つめ直す。
久々に無くなっていくのが寂しくなるスープと出会った。
そしてメインは雷鳥のローストがやってきた。
猛々しい味わいの中に野生の優しさをはらんで、「噛んで」と呟く。
臭みがなくきれいな滋味の中より、森の豊穣が滲み出る。
赤羽岩渕「でぐち弐番」。
ご無沙汰しておりました。薗部シェフの力量に触れた夜。