母の慈愛に富みながら、貴婦人の品もある。

食べ歩き ,

母の慈愛に富みながら、貴婦人の品もある。
そんなスープだった。
錦糸町「サウスラボ南方」の「田螺頭湯 干しつぶ貝とスペアリブ、白菜の蒸しスープ」である。
鼈甲色した液体が口に流れ込む。
最初はさらりとしていながら、ゆっくりと旨味が頭をもたげ、口の中は揺るぎなき養分で満たされる。
そして喉を過ぎて体の隅々までゆき渡って行く。
「はふ」。
体は、温泉に入った時のように、弛緩しながらも、養分を得た喜びに打ち震える。
「毎日飲みたい」。
いいスープには、そんな願いを起こさせる力がある。
「サウスラボ南方」全料理は、別コラムで