東京とんかつ会議15
巣鴨「とん平」の上ロース定食2000円。
<肉3、衣3、油2、キャベツ3、ソース2、御飯2、新香1、味噌汁2、特記;串カツ 計19点>
駅前の再開発によって新店となり、明るく、清々しさに満ちた店となった。昼時はとんかつ好きの客で早くから賑わう人気店だ。年配のお客さんを中心に、銘々が美味しそうにとんかつを食べる姿は、心が和む。
きつね色に揚がった中粗の衣のカツの断面は、しっとりと濡れて食欲を誘う。噛めば、衣が軽やかで油切れも良く、豚肉のほのかな甘みがにじみ出てくる。銘柄豚はうたっていないが、上質な豚を感じさせるきめ細かな肉質と脂である。しかしやや火が通し過ぎで、肉からしなやかさが失われている点があり、油を2とした。
キャベツはほの甘く、切り方も丁寧。店の心意気が感じられる。巣鴨という土地柄なのか、ソースは濃く、甘味が強い。塩で食べた方が、より豚肉を生かせると感じた。味噌汁は具が控えめな豚汁で、とんかつを邪魔しないが、やや旨味が強い。お新香、ご飯共にさらに充実すれば、素晴らしき定食になるだろう。
加えて以前からの名物、串カツが素晴らしい。葱の甘みを生かし切った、葱が主役ともいえる逸品。とんかつに比べ軽視されがちな串カツだが、「とん平」のそれを食べれば、この料理の素晴らしさを見直すことは間違いない。
1本から追加することも可能なので、とんかつに添えても、ビールで先にやってからとんかつ定食に移るというのでも楽しい。