東京とんかつ会議第219回 外苑前「とんかつじゅんちゃん」坂東もち豚ロースかつ2700円
【肉3油2衣3 キャベツ3ソース3ご飯3味噌汁3お新香3 特記なし合計23点】各項目3点満点特記1点総計25点
THE AOYAMA GRAND HOTEL内にある、割烹「くろぎ」の黒木氏が監修したランチ限定のとんかつ屋である。カンター席22席と広々とした店内で、キビキビと5人のスタッフが働いていて、心地よい。
豚肉は、群馬県「高橋養豚場」の「坂東もち豚」を使う。注文してまもなく、「とんかつが出来上がるまで,だし巻き玉子をお召し上がりください」と、熱々のだし巻き玉子が出される。だし巻きで胃袋を刺激していると、その後10分くらい経つと、ご飯、豚汁、おしんこが運ばれ、とんかつが登場した。
細かい衣で均一にあげられたとんかつの肉は、きめ細かく、噛む喜びがあって、うまみも十分ある。やや肉の味が淡いが、塩も何もつけずとも、十分に美味しくいただけ、脂のキレもいい。右端味が濃いかぶりの部分も、油の甘い香りがあって、ここはソースをつけてかじりつきたい。
揚げ油はコーン油とラードとのことで、場所柄、ラード100パーセントにせずあっさりと揚げているのだろう。そういえば外苑前にはかつて「種長」というラードの香りが立った良きとんかつ屋があったことを、思い出した。
あみに盛られて出るが、惜しむらくはやや下面が湿気ており、もう少し休ませ、肉汁を安定させてから切られると、より良いとんかつになるだろう。
脇役陣では、高級米「龍の瞳」を使ったご飯(おかわり自由)は香り高く、甘味があり、大根、にんじん、ごぼうの切り方が丁寧で、滋賀の赤蒟蒻が彩りを添える「豚汁」が素晴らしい。日本料理屋としての真っ当さを貫いて、背筋が伸びる。
赤キャベツとキャベツをと紫蘇を混ぜたキャベツ(おかわり自由)、ブルドックソースに返を混ぜたという下ソース、奈良漬、きゅうりと白菜の浅漬けという布陣のおしんこも上出来。
値段だけ考えれば、ロースカツ2700円というのはやや高いかもしれないが実質はお値打ちといえよう。
また食事後半には、生卵の黄身入りカレーソースがつく。今回はヒレやリブロースをいただかなかったが、裏を返していただきに行きたい。
山本氏20点 河田氏22点