札幌「壽山」一万円のお料理。
割烹では、おいくらにされますかと、予約の際に聞かれる。
「おいくらのコースがあるんでしょうか?」と、尋ねる。
大抵用意されるのは、3コースである。
初めてその店を訪れるなら、僕は必ず一番安いコースを頼む。
なぜならこの3つコースは、使う食材が高級になるだけであり、高級になるということは、他店とあまり差別にのない料理になるというケースもあるからである。また、一番安いコースこそ、その料理人の考えがよくわかるからである。
もちろん例外もあるが、やはり高級食材というのは、それだけ輝きのある食材なので、僕ですらうっかり心を許してしまい、料理人の考えまで至らないことがあるからである。
また初めていく店の料理と、どうも相性が悪いということもあるだろう。
そんな時も、一番安いコースなら傷心具合が少ない。
もっとも僕も、割烹初心者の頃は、真ん中のコースを選んでいた。
一番高価なコースは無理だし、だからといって安いコースではなめられる。
そんな妙な見栄心が働いて、真ん中のコースを選んでいた。
しかし、一番安いコースを選ぶようになってから、次第に理解が深くなっていったのである。
1) 縮みほうれん草、ユキノシタ、つぶ貝のウニがけ
2) たちとゆり根のすり流し、仁木町の大浦ごぼう
3) まつかわとボタンエビ昆布締め 岩海苔 わさび、チシャ
うま味が品良くじっとりと乗って、少しいかったガレイが口の中でよじれながら、うま味を滲み出していく。ボタンエビは昆布の旨みを追いながら、あのだらしなさがない
4) マスノスケの三平汁仕立て 玉ねぎスマイルボールの生と蒸し
マスノスケの脂の濃さ、ハウスが開発したという絡みがない玉ねぎの取り合わせ
5) 八寸 青柳酢味噌、 子持ち昆布、ししゃも(実に香ばしく噛みしめる喜びあり)、いばら蟹の内子(白身の糸作りのような柔らかさ、浅い塩辛的旨み)
6) カスベほっぺの木の芽焼き
口の周りについている球体の肉。ほっくりと崩れ微かに甘く、噛むほどに味が膨らんでいく
7)あぶり北寄、アスパラガス、露生姜
7) 八角とせりの炊き込みご飯
脂が乗った八角のやや野暮ったい味とたくましさに、セリの香気が爽やかにアクセントする。うまい
8) あまおうのおはぎ 見事