旬の歳時記 冬瓜6-9 2012.07.09 食べ歩き , 東京 , 和食 , 果菜 , 割烹 Tweet ガラスの小鉢に、冬瓜の冷やし煮浸しが座っている。 薄緑を帯びた半透明の体は、凛として涼やかで、静かに出汁を抱いていた。 上には茶筅で散らした青柚子皮。 前歯でそっと噛むと、冷たい汁がするると滲み出る。 冬瓜の優しい甘味と出汁の旨味の出会いは、過熱した頭を冷まし、心をゆっくり横たえる。 半世紀以上もかたくなに、この夏の突き出しを守る四谷の料理屋は、今夜もお客の顔を思い浮かべながら、冬瓜を煮る。