ご主人は、料理が好きでたまらないのだろう。
料理の詳しい説明を聞く時、いつもニコニコしている。
子供が描いた絵や作ったおもちゃを説明するときのように、無邪気で他意のない笑顔を浮かべている。
「イワシ煮」が出された。
なんと美しく、澄んだ味わいなのだろう。
イワシの中に秘めた、穢れなき純粋を極めている。
これもニコニコしながら説明された。
「頭と尻尾を切ったイワシを3回ほど水を変えながら漬けます。自ら茹でて一回お湯を捨て、また下茹でし、お酒と砂糖をいいれて5時間炊きます。最後に薄口を入れて少しだけ炊いて、急冷したものです」。
やられた。
魚だけではない。肉料理も優れている。
サカエヤの熊本草原あか牛が出された。
焼き具合は完璧で、草原の草だけを食べて育つ牛が放つ、草の匂いと優しさが、見事に引き出されている。
付け合わせもいい。
あか牛に脂で焼いたきゅうりとイタリアンパセリの軸で、青臭さがのんびりと高原で草を喰む牛の姿を想起させる。
ソースも素晴らしい。す
野菜の出汁を取ったあとの野菜ガラをフライパンで素焼きしながら 焦がしていき、野菜の出汁をいれて、焦げと旨味をこそげとったものだという。
その苦味と酸味が牛の鉄分を、そっと抱くのだった。
まいりました。
春雨のパスタはどうだろう。
ヒゴイワシで自家製アンチョビを作り、その塩分だけで味付けをした春雨である。
レモン皮の千切りがアクセントとなって、もう箸が止まりません。
これは自宅でやってみよう。
そして最後は大衆食堂らしく卵炒飯を頼んでみた。
食べた瞬間、全員が笑顔となった。
卵の甘い香りが、米一粒一粒にまた割ついて、ハラハラと口の中で舞う。
だが不思議なことに、パラパラなのにガーリック炒飯のような足が強感があるのだ。
それがまたクセになる。
これは作り方を聞かなくちゃね。
すいません。みなさん。
どだろうとなりますよね。
でも紹介者との固い約束で、店名を明かせないのです。すいません。









