メニューに「トフェイヤ」を見つけて、真っ先に頼んだ。
ピエモンテ州の郷土料理で、豚耳、豚足、タンなどの様々な部位と豆、香味野菜を煮込み、スパイスを効かせたズッパである。
運ばれた「トフェイヤ」をスプーンですくい、口に運ぶ。
とろん。
溶け込んだ豚のコラーゲンが、唇を撫でる。
コラーゲンの甘みが舌を抱きしめ、噛めば、豆の優しい甘みが広がっていく。
イタリア人でもないのに、郷愁が胸に迫り、しみじみと「おいしいなあ」と呟く。
どこまでも地味だが、毎日食べても飽きない暖かさと力強さがあるスープである
井村シェフに「トフェイヤを久しぶりにいただいて美味しかったです。これはよく作っているのですか? 頼む人はいますか?」と、聞くと、
「ありがとうございます。作り続けています。でも上に書いてあるトリッパを頼む人が多くて、正直あまり出ません」と、苦笑いされた。
例え注文がなくとも、受けなくとも、自分の信じているものを作り続ける。
僕はこういう変態が大好きだ。
三元茶屋「コジコメ」
変態。
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