冬は温かきように、夏は涼しきように

食べ歩き ,

じゅん菜は、冷たさも一緒に楽しむ食べ物である。
じゅん菜も冷やす。
わさびや昆布・鰹の濃いめのだしとお酒、薄口醤油で整えた地も冷やす。
混ぜ合わせるボールも冷やしておく。
すべてを冷やす。
それをよく冷えた江戸切り子に盛る。
じゅん菜のつるんとした食感を、胡麻豆腐の柔らかさが引き立てる。
ほのかな豆腐の甘さが加わって、味が膨らんでいく。
豆腐が出しゃばらずに、滑らかにのどを通って、初夏を呼ぶ。
「冬は温かきように、夏は涼しきように」と、利久の言葉にもあるように、この時期は、涼味を楽しみたい。
「辻留」にて