僕の個性はいらない

食べ歩き ,

草が揺れる。雲が流れる。
遠く波が押し寄せる。
雨が振りつけ、風が舞う。
僕らの目の前には、なにもない。
僕らの目の前には、すべてがある。
ふと注がれたシャンパンを窓辺に置いて、景色と乾杯がしたくなった。
「語弊を恐れずに言わせていただくと、この景色を眺めながらの食事には、僕の個性はいらないと思っています」。
そう平田シェフは言われた。
店は能登にある。
かつては海水浴場だった砂浜には、草が生い茂る。
見渡す限り建物はない。
草原と荒涼たる海と空と雲が広がるだけである。
海の家だったという建物を改築してレストランにした。
レストランの後ろには、宿泊できる建物を建てた。
能登の建築家、ガラス作家、陶芸家、漆作家、紙作家、生産者、すべてを能登でまかなっている。
その料理は、自然に触れることへの喜びと怖さに満ちていた。
「奇抜な食材の組み合わせや独創性の高い料理は、かえって景色を邪魔すると思うんです」。
そう語る彼の料理から、素直に食材の味が伸びてくる。
だが、自然のお裾分けの手伝いを少しでもできたらと考え、ひたむきに作られた料理こそ、現代にとっては独創なのである。
ぼくは、この希少な独創を大切にしたいと思う。
次回はぜひ泊まりたい。
朝と夕方の景色を眺めるために。
3/25
★そばかき 原木椎茸のスープ、三つ葉 椎茸の滋味がありがたい
★アミューズ
バーチリダーナ 貴婦人 真鰯のアンチョビのメレンゲ柚子 ポレンタ揚げ、自家製塩タラによるバッカラマンテカート、イサザのフリット
輪島の門前 七面鳥作ったポルペッティ ヤブニツケイの葉っぱ
イワシ(うかわ日出大敷 )新玉ねぎのチップと。、
金柑たまご
★コウイカ 背脂 おぼろ昆布
白井のおぼろ昆布
ラルドディコロンナータ
白の三種の甘みうまみ。
おもしろい!!
塩と文旦の香り
イカゲソとエンベラのびるのサラダ。イカスミのポテトサラダ紫蘇
★牡蠣 山菜
15秒ポシェ
七面鳥コンソメ
山菜 雪の下とカンゾウ
輪島塗 大正年間
宮本水産 牡蠣の素晴らしさ、澄んでいながら濃い
★オレキエッテ 中島菜
40分以上茹でた中島菜といしり。キレイな味。小矢部
★プーリア
ポシェ ラザーニャ 七面鳥 のレバー 椎茸コンフィ ベシャメルソース
★畑
40種の野菜を様々な料理法で。
柚子味噌 胡桃入り
備前焼の器の上から拭き下ろしで漆を塗っている。
★ズッパデペッシェ
カチュッコ
粗く越して
クエ 鮑 鰯の白子
ザラザラ加減がいい
★自然豚
ウド 能登ミルク
★蕗の薹の香りを映したティラミス。蕗の薹パウダー
★ジンジャーのゼリー
蕎麦粉のクッキー
マルメジャーノ酒粕
遊穂じろ飴