白金「ロッツォシチリア」

人生って悪くない。

食べ歩き ,

  • 長崎五島列島活締めスジアラと巨峰のクルディタ1

  • 分豊後アジマリネとロースト大黒舞茸、 ミョウガ

  • 福島会津馬肉、 焼茄子、 松の実タルタル 塩漬黒胡椒

  • 福島会津馬肉、 焼茄子、 松の実タルタル 塩漬黒胡椒

  • サルシッチャとレモン、スパイシーリゾット

  • 鳥取境港 白イカ 炭火焼

  • サルサポモドーロ

  • 空芯菜とターツァイのクタクタ

「最近はどこもペアリングです」と、言うと
「そうですね。でもペアリングにしちゃうと面白くない。我々サービスがいる意味がないし、育たないんですよね」。
そう、阿部さんは言われた。
阿部さんは、イタリア料理で言わずとしれた名カポ・カメリエーレ 給仕長である。
つまり、ペアリングとはただ料理に合わせるだけでなく、お客さんの好みや飲み具合などを見ながら、当意即妙に選んでいくことなのだろう。
そんな阿部さんのワイン選びと説明が楽しいので、いつもこうお願いする。
「ワインはどうしますか?」
「飲み放題コースで。身も心も阿部ちゃんに委ねます」。
「かしこまりました」と、にやり。
こうして「ロッツオ・シチリア」という劇が始まる。
それは、大いに食べ、飲み、喋り、笑い、最後には相手との距離が縮まる劇場である。
(ちなみに飲み放題というコースはありません)
先日はアペリティーボに、イタリアでオレンジ農園をやられている人が作っているというジンをブラッド・オレンジュースで割ってもらい、あとはすべてをゆだねた。
いやあ飲んだ。
二人で前菜四皿をお願いし、リゾットを食べ、前菜のイカ焼きを主菜に取っておいてもらい、最後はメニュにはなかったが乾麺を頼んだ。
馬肉に焼きなす、米にスパイシーサルシッチャ、アジにロースト舞茸、スジアラに巨峰など、誰も思いつかなかった相性を見つけ、食べるとこんな料理がシチリアにはあるんだと思わせる馴染み方がある。
中村シェフは、まさしくどこにでもある食材から奇跡を生み出す才である。
そんな料理を食べながら、阿部ちゃんが選んだワインを飲み、冗談を言いながら過ごす時間は、輝き続ける。
そして食後は「阿部汁」である
リモンチェロやら自家製ディジェスティーボ、「一杯500円、4杯飲んだら1500円」という素敵なシステムに浸る。
そうここには、「人生って悪くない」。
そう思う瞬間があるのだね。