ベストオブハムカツである。
ハムカツは、メニューに書いてあれば必ず頼む。
今は、分厚いハムカツやミルフィーユハムカツ、ホワイトソース入りハムカツなどバリエーションがある。
どれもいいのだが、最も肝要なのは、他の料理同様、バランスではないだろうか。
ゆえにハムが威張りすぎているのも、衣が主張しすぎているのもいけません。
このハムカツは、ハムの味、薄過ぎず厚すぎないガバ、衣の細かさなど、ベストである。
その証拠に、食べた瞬間、「うまいっ」と、不覚にも呟いてしまった。
さらにこの店は、名物がある。
コチやヒラメ、ブリやさば、イサキのなめろうやそうだ鰹と青唐辛子のたたきなど豊富な魚料理が売りなのに、「一番人気!」と書かれている料理がある。
それは「紅生姜天」であった。
食べて納得がいく。
普通の紅生姜天は一塊になっていて、もそもそするのだが、これは写真からはわからないだろうが、いくつかに分けて揚げられている。
さらに普通の生姜天は厚く、一つの食感しかないが、これは周辺が一本一本花開くように揚げられているのであった。
それゆえ中心の量があって、もそっとした部分と周囲のカリカリとした二つの食感が楽しめるのであった。
生姜天ひとつとっても、料理というのは実に面白い。
65年続く居酒屋「小伝馬」3代目店主とともに。