カボチャのトルテッリ ゴルゴンゾーラソース

食べ歩き ,

食べた瞬間に嗚咽が漏れた。
皮の消え方、カボチャの純な甘み、ゴルゴンゾーラソースのわずかな塩気、クリームのコク。
そのすべてが1ミリ狂っても、この美は生まれない。
口に滑り込んできた途端に、ふっと体が浮き上がる高揚がある。
「次第に空気が乾燥する今の時期は、10秒気をそらしただけで、うまく皮が作れなくなります」
毎日、一分一秒に気を張りつめて、皮を薄く薄く作るのだが、皮の存在感をなくしてもいけない。
「かぼちゃの水分がどれだけあるのか、それによって抜き方も違います」。
甘みを凝縮させるために、カボチャをオーブンに入れて焼く。
しかし時期時期のカボチャの個体差によって、焼き具合を変える。
ゴルゴンゾーラの量、クリームの量も毎日整える。
それだけ精緻に作られながら、人間の手がかかっていないような、自然がある。
我々が、少しでも自然に近づこうとするならば、微に渡り細に渡り神経を研ぎ澄ませ、欲を捨て去る勇気と、細やかな感性がないといけないということを、このパスタは証明している
亡き師匠神戸勝彦シェフの味を受け継ぐ吉田洋平シェフが作る「MASSA」のスペシャリテ「カボチャのトルテッリ ゴルゴンゾーラソース」。