「二戀」とは、恋の旧漢字だそうだ。
恋し焦がれてという思いを込めたのだろうか。
西麻布の割烹の名前だが、 ぼくなんか、「にこ」といわれると ベルベットアンダーグラウンドを、思い出す。
歌手であり、モデルであり、女優であった、アンニュイな美人。
アラン・ドロンとも付き合っていたという。
美しかったなあ。
合掌。
でこの「二戀」、味が濃い。
東京風のこっくりと甘辛いのではなく、なにかこう、食べ手の食欲をあおるような、味の濃さが淡麗の中に忍んでいる。
食べるほどに、食べろ食べろと誘い。
飲め飲めとあおるのだ。
濃いのではなく、濃ゆい味。
酒がぐいと進むのだ。
牛蒡しんじょなんて、受けが悪い、地味な椀だねを使うセンスもよく、 鰆の焼き霜もぐじの焼き物も、ぐいぐいと、舌に味がのる。
滲むのは、
京都のさらりとは違う、実質的なうまさ。
もしやと思い、聞けば、大阪「き川」出身。
道理でと、手を打った。