ご飯三題

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ご飯三題

ねこまんま。おかかごはん。かき立ての極上鰹節を、熱々ご飯にふわりと乗せて。ちょいと醤油をかけて。 
 絶望的にうまい。かつおの香りとご飯の甘い香りがであって、笑いが止まらん。体中の血が、日本人だぁと、ざわめいている。 
 日本橋の高級ステーキ屋Mの名物。ステーキ(といっても安い薄焼きだけどね)食べた後に、ほんのり下品な庶民味。 
 こんな演出におじさんたちはみんな弱い。

 

卵かけご飯。創作即席料理Bにて、立て続け料理を平らげ、締めとあいなった。 
 「なにになさいますか」。と聞かれ、頭と舌と胃袋を駆使した食事に疲れて、 
 「玉子かけご飯」。と答えた。 
 玉子は黄身が濃く甘い。そこへ熱々ご飯。 
 まずはなにもかけずにずるずるっと。 
 次に塩をはらりとかけてずずぃっと。 
 黄身の甘みが引き立って、白身のずるりと甘いご飯と渾然一体。一気呵成。無我夢中 
 ああたまりません。止まりません。 
 醤油をかける人もいるけど、玉子とご飯が良ければ、醤油は、せっかくの玉子とご飯のハグを邪魔しちゃう。 
 これが一番おいしいと、決していってはいけない。幸せご飯。

天むす。名古屋浄心の割烹花いちにて。 
 心洗われる料理をいただいた後、選んだのは天むす。揚げたての才巻き海老を入れて、むすんでくれた。 
 海老のプリッとした食感が魅力のこのおむすび。 
 それでも十分おいしい。でも。海老が甘い。上品にほの甘い。その甘さとご飯の甘みが出会った幸せに、祈った夜でした。