白いテーブルクロスの上に、いきなり七輪である。
似合わない。
しかし網の上には、グアンチャーレが置かれ、あぶられ始めた。
熱せられたグアンチャーレから、脂が染み出し、てらてらと輝く
おいしい匂いが湯気となって、鼻をくすぐり、頬を撫でる。
もうそのまま、網の上からかじりたい。
そう思っていたら七輪は、グアンチャーレごと引き下げられた。
しばらくして運ばれて来たのが、「アマトリチャーナ」である。
ほどよく脂を落として、熱せられたグアンチャーレが歯に食い込む。
トマトソースの甘みと太いパスタのうま味が追いかける。
ああこれだけを腹一杯食べたい。
アマトリチャーナが生まれたと言われる、ラッツィオ州アマトリーチェの人たちによると、正式な作り方は、グアンチャーレを炒めて白ワインを入れて、唐辛子を加えて、あとはトマトで煮るだけのシンプルなものだという。
ローマでは、グアンチャーレを使わずに、パンチェッタを使う。
なぜならグアンチャーレを使うと脂っぽくなるからである。
しかしこれならグアンチャーレを使ってもいい。
実に理にかなったアマトリチャーナ、いやおそらく世界で一つのおいしいアマトリチャーナである。
「ブリアンツァ」にて