「シェフス」で40年来出し続けている「車海老の香り蒸し」は、ミソが濃い、河口近辺を行き来している明蝦を使う。
淡水と海水の入り混じるミネラル豊かな水域で育った車海老は、滋味をたっぷりと蓄えている。
まずは身にかじりつき、やさしき甘みに微笑んだら、頭にかじりつく。
殻ごとちゅうちゅうと吸いながら、濃密なミソが舌に絡みつき、官能を刺激するコーフンに酔い、その酔いに酒を合わせる。
そしてそのミソが溶け出た蒸し汁にご飯を落として、よくよく混ぜたら一気呵成。どんないい人でも、分け与えたくなくなる味の勢いがあって、脇目も振らず、無言で食べて箸を置く。
たまりません。