「仕事ができる」

食べ歩き

こういう人を、「仕事ができる」というのだろう。
僕の大好きな食堂の主人、Sちゃんである.
いつも割烹顔負けの魚料理や野菜の炊きものを作りながら食堂なので、各種うどんや丼、炒飯やラーメンまで見事に作ってしまう.
さらには、昼間は魚市場に勤めているため、魚の目利きが頭抜けて、種類も多い。
そして安い。
昨夜も、オコゼやケンサキイカ 、本マグロのお造りを楽しみ、いつもなら煮魚や焼き魚と行くところを、肉料理といった。
実はここに肉料理はない。
あの滋賀の精肉店が、肉を持ち込んだのである.
近江牛の経産のステーキは、優しい火入で、鮒寿司の飯と青トマトを混ぜて作ったというソースが添えられている。
その練れたうまみと酸味が成熟していないトマトによって薄められ、牛肉に寄り添う。
さらには、ブラウンスイスのフランクとサンカクのビフカツときた。
カリリと揚げられた香ばしい衣を噛めば、肉の滋味がゆっくり顔をもたげてくる。
噛むほどに溢れていくうまみを感じながら、ああこれを吉田さんに食べさせたいなあと思った。
また、サンカクのカツに添えたフライドポテトがうまくて、ヤンなっちゃう。
さらには、ほうき鶏の胸肉ときた。
しっとりと、均一に加熱された具合に喜びながらソースをつけると、鳥のうまみがぐっと持ち上がる.
聞けば、赤と黄色のパプリカの皮剥いて作ったジュースに胡桃ペーストを加え、フレッシュオレンジジュースと乳化したものだという。
あなた一体何者なの?
最後は、「ジビーフの煮込み」である.
ほろりと煮込まれながら、肉に滋味を宿した加熱に酔いながら、深く優しいソースに、赤ワインが恋しくなる。
しかしここは大衆食堂、赤ワインはないので、芋焼酎お湯割りで迎え撃つ。
Sちゃん、あなたは本当に仕事ができる男だよ。
しかしその驚きは、まだ終わらなかった。
以下次号。