「エチレンガスを吹きかけた、完熟アボカドが手に入ったんで」。
ワカモレを頼むと、店主はそういって作り始めた。
ワカモレが作り置きではない。
それが嬉しかった。
ではタコスを頼もう
「ココナッツチキンキーマタコスをください」
珍しいレジェノ(詰め物)である。インド料理ではないか。
「どんなキーマですか?」と聞けば
「フェンネルと黒胡椒をココナッツミルクで温め、それをキーマのカレーに入れた物です。牧元さん僕スパイスカフェで働いていたんです」という。
顔バレしていた。いや一度会ったことがあるらしい。
彼はおもむろにトルティーヤを作り始めた。
生地を練ってプレスで潰し、鉄版で焼く。
コーンの甘い香り漂ってきて、思わずメスカルを頼む。
メスカルはライムとチャットマサラを添えて出された。
チャットマサラの少し硫黄香がするスパイシーな塩味を舐めながらライムを齧り、メスカルを飲む。
刺激的で、ああ、たまらない。
キーマとトルティーヤの相性も、メキシコとインドは兄弟だったのね、と言いたくなるほど自然であった。
「レッドポーク」のタコスも追加した。
南インドのアンゴラで食べられるカレーとのことで、青マンゴーのアチャールを混ぜて作るのだという。
辛い。
辛いが味が丸い。
トルティーヤと見事に馴染んでいる。
もう止まらない。
「グリーンポークビリヤニ」もお願いした。
白、茶、黄色のマダラ模様が、本格ビリヤニであることを語っている。
ホールスパイスが見え隠れしている点も、米が細長く一個、一粒一粒が独立している点も、新鮮なハーブやオニオンをトッピングしてある点も、本格ビリヤニの証である。
作り方を彼は説明してきた。
「ココナッツとパクチーの根っこを回して。本場だとヨーグルトですが、あえてメキシコのサルサを加えました。豚肉ですが、豚バラは焼いて入れ。
豚かしらは圧力鍋で炊いて混ぜ、コラーゲンの旨みをグレーヴィに加えてみました」。
いい。すごくいい。
様々な食感が弾み、一見単純なようで、味に深みと複雑がある。
ワンオペながら、様々な仕込みをし、多彩な料理を作っている。
料理を作るのが大好きな、愛すべき変態だな。
幡ヶ谷「loom]にて











