「精肉店の人、100人に黙って食べさせたら、おそらく99人はミノというでしょう」。
そう新保さんは言った。
食道に近いガツの上部を使った「ガツの辛味煮込み」と「ガツのスープ」である。
白湯をベースにした辛味煮込みを噛むと、ガツ特有のクニュクニュした感触が、微塵もない。
しなやかでいながら歯切れが良く、爽やかでさえある。
噛めば、ほのかに甘みが滲む。
それが微かにつけられた辛味と白湯の滋味と出会って、宮廷料理のような風格を生んでいる。
一方スープは、ガツの下の部分で作られていた。
バクテーのような胡椒を効かせたスープで、上部より硬めだが味のあるガツを生かす。
コラーゲンが溶け込んだスープに浸かって豚の胃袋は喜んでいるようだった。
辛味炒めを口にした新保さんは言った。
「僕が今まで食べたガツ料理の中で、一番だ 」