滑らかにからむ甘いブロッコリー
イタリア料理店の攻勢が激しい。
おかげで、多様なパスタ料理やピッツァが手軽に食べられるようになったが、まだまだ手軽な値
段でというワケにはいかない。
特に地方色豊かなバスタ料理は、ランチには登場せず、かといって夕食時にパスタだけ食べるの
は許されない。
そして 「ラゴーラ」は、夕食しか営業していないので、ここのパスタを味わうチャンスは少な
い。 が、 抜け道はある。
「ラゴーラ」には、6席のカウンターを持つバールがあって、 酒だけ飲んで帰るのも、 前菜を肴にしてワインを飲むのも、 90種近い豊富なメニューから、 好きな料理を頼むこともできるのだ。
パスタのメニューは約20種類。それぞれにシチリア風、 トスカーナ風と記された魅力的なメニューが並ぶが、 春なら、“ブロッコリーのパスタ・アンチョビ風味プーリア風” がおすすめだ。
ブロッコリーを使ったパスタは、他店でもよく見られるが、日本人の好みに合わせて、歯ごたえ
を残すようにゆでたブロッコリーを、 パスタと合わせている場合が多い。
しかしこの店ではイタリア流に、にんにくとアンチョビ風味のオリーブ油で炒め、湯をさしてから、 完膚なきまでグッチャリとゆで上げている。
ゆですぎた姿からは、味が抜け出たように想像してしまうが、 食べてみると甘い。 ブロッコリー自体の甘さが的確なアンチョビの塩けによって引き立ち、柔らかいのでソースのように滑らかにパスタにからんでいく。
量も多いので、しっかりと腹もふくらむ。
六本木で飲んだあとに、 「ちょっとパスタ手繰りにいかない」 なんて、乙ではないか。
閉店
写真はイメージ