昔ながらのつけ台は、長らく握りが置かれたことによって変色している。
客席と厨房を隔てる境に、半暖簾が下げられているのは、屋台の名残である。
そしてコースなんて野暮はなく、お好みで、好きなものを好きなだけ頼める。
今日は、赤みからスタートしようか。
次にヒラメ、イカといって、コハダをもらおう。
ここはアジもイワシも〆である。
さあそろそろ貝かな。とり貝、赤貝といって、煮蛤をもらおうかい。
ケースに、穴子が見当たらない。
「今年は穴子のいいのが入らなくてやってないんです」と、息子さんが寂しそうに言う。
ならばエビ、小柱といって、玉子も握ってもらおう。
こういう玉子はやはり握りが生きるな。
最後はかっぱ巻きで閉めた。
87歳だというご主人は、まだまだ現役、奇しくも87年前に三田で誕生したこの店と同い年になる。
銀座「ほかけ」にて