20年ぶりぶりだろうか。
久々に「福よし」を訪れた。
会社員人生の大半、新入社員から約30数年、原宿のビアザビルですごした時によく通って店である。
おの頃に通った、「福禄寿」も「五十番」も、焼魚の「久保田」も天ぷら「つる岡」も「金寿司」も、「とんちゃん」もフィリピン料理屋もメキシカンも「レオン」も皆なくなって、今はブティックになってしまった。
唯一変わらないのは,「龍の子」と「福よし」である。
「福よし」は、クラプトンが常連であることで知られるとんかつ屋で、いつも成田から車で駆けつけては、チキンカツを食べていたという。
僕もここではトンカツは、あまり食べなかった。
いつも夜に訪れ、上新香とビール中瓶,チキンカツを頼む。
新香で中瓶一本をやり,チキンカツが登場してから2切れでもう1本飲み、ご飯と味噌汁をもらって、残りのチキンカツを食べた。
チキンカツを頼むのは理由がある。
ここの味噌汁とチキンカツは、高校の学食の味と似ていたからである。
学食と同じ味とは不名誉かもしれないが,うまみ調味料が入った味噌汁と,肉より衣が威張ったカツは、学食の味と酷似して,郷愁を誘い、とんかつへの浮気ができなかった。
20年ぶりに訪れたら,店主はすっかり白髪になっていたが,僕を見るなり「毎度」と言って,笑ってくれた。
場所も一階の平家からビルになり,三階となっている。
味噌汁もチキンカツもかわりない。
衣はキャベツに接している下側もガリガリで、ここにソースをたっぷりかけて食べると、ご飯が途端に恋しくなる。
以前は残ったチキンカツで丼飯を食べたが,今はご飯半分にしてもらっても,持て余してしまう。
いつのまにか、ご飯換気察知能力が弱まったようである。
帰り側に「クラプトンは来てますか?」と尋ねてみた。
すると、
「最近マネージメントが厳しいらしくて,すっかりご無沙汰です」と、一瞬寂しい顔をされた。