「ピータールーガー」は、日常にある、抑制された欲望への解放かもしれない。
あるいは、常に料理への評価分析、公表を求められる僕の職業から解放してくれる店かもしれない。
まずここへは、気の知れた、バカ話を言い合える仲間と行かねばならない。
全員が食いしん坊で飲兵衛である必要があり、さらには、料理のことを分析したり、蘊蓄を垂れる人はいけない。
できれば、６人以上でかけるといい、
予約の30分前に集合し、席に着く前には必ずバーで、マティーニを飲むこと。
着いたら好きな酒を頼むこと。
アイスバーグサラダにシュリンプカクテルを頼み、ベーコンも頼む。
このベーコンがいい。
厚切りベーコンを噛み締めて、ワインを飲む。
するとステーキへの食欲がグングン湧き上がってくる。
先日は8人だったので、ステーキフォー２とリブアイ一つをお願いした。
ステーキが来る。歓声があがる。取り分けてもらった皿が運ばれる。
切って齧る。その瞬間一瞬無言になる。
だがその後、一同が顔を見合わせて笑う。
その時間が好きである。
付け合わせは、フライドポテトとほうれん草。
こうしてガシガシ食べ飲んだ後は、ダイエットのことなど忘れて、ピーカンパイ。チーズケーキ、そして忘れてはいけないキーライムを頼んでシェアをする。
大人が甘い甘いケーキを食べながら、子供のような屈託のない、嬉しそうな顔をする。
これまた素敵な時間である。