ぶっかけピッツァである。
ぶっかけうどんや、ぶっかけ丼、ぶっかけそばやぶっかけラーメンには出会ったことがあるが、ぶっかけピッツァは、初めてである。
古くは古代エジプトに起源を持ち、16世紀にフォカッチャに具を乗せて焼いた原型のようなものが出来上がり、17世紀後半ごろにナポリで現在の形のピッツァが誕生したと言われる歴史の中で、誰も考えなかったのだろうか。
おそらくピッツア生地を煮汁につけて食べるということはあっただろうが、「ぶっかける」という発想には至らなかったのかもしれない。
しかしこの店ではとにかくぶっかけちゃったわけである。
トマトソースとブイヤベース風ソースで煮込んだイイダコとストラッチャテッラチーズを、ピッツア生地にぶっかけてある。
激しく手が汚れるので、手で掴むことはできない。
ナイフフォークで口に運び食べていく。
普通の煮込みなら。深いソースの味わいとチーズの甘み、イイダコの食感という三重奏である。
しかしそこに生地の食感と風味が加わる。
炭水化物が加わる。
つまり親子煮と親子丼の関係に似て、「食ったぞお」という高揚感がある。
そしてもう一つ面白いのは放置である。
ゆっくりと食べいくと、生地が汁を吸ってクタクタとなる。
これだけを食べると、妙においしいのね。
神楽坂「クレイジーピザ」にて。