フランスでは高級とされるシャポン(去勢鶏)は、雄の凛々しさを持ちながら、雌の優美な脂を兼ね備えた鶏である。
新潟で飼育されたこの鶏を中心に据えたレストランが、今月11日にできた。
その名を「翔」という。
場所は日本料理「かんだ」があった場所で、そのまま居抜きで使われている。
なにしろ「かんだ」の場所だから、気がいい。
座っただけで背筋が伸び、食欲が湧いて、さあ食べるぞという気分になってくる。
10皿ほどの料理は、シャポンの特有の滋味を工夫を凝らし、様々な面から攻め込んで来て楽しい。
特に打たれたのは、シャボン胸肉と白アスパラに、カーブドッチのアルバリーニョを使ったサバイヨンソースを添えた料理だった。
胸肉のしなやかさを持ちながらも噛み締めると湧き上がる肉としてのたくましさに白アスパラのミネラル感が、見事に抱き合う。
さらにそこへカーブドッチのアルバリーニョを流し込めば、鶏、アスパラ、ワインの三者のミネラルが響きあい、輝き出す。
陶然となる時間がそこにはあった。