威風堂々たる姿に、歓声が上がる。
これが真のカルボナーラである。
カルボナーラというと、日本ではクリームを使う店が多数だが、本来は使わない。
卵黄とチーズ、黒胡椒、豚肉の燻製を使って作る、野太いパスタ料理である。
何しろ名前が炭焼き小屋風であるから、山奥で作ったような荒々しさが信条である。
この店のそれは、十八分かけて茹でる太麺のスパゲットーニに、卵黄、羊チーズのペコリーノ、自家製の塩漬け豚バラ肉を使う。
つまり鶏と羊と豚の産物による三位一体を、パスタが取り持つという、勇壮な味なのである。
一口食べて笑う。
肉の味に、卵黄の甘みに、チーズの練れた塩気とコクに、ただただ笑う。
そして後はわき目も降らず、一心に食べる。
そして食べ終え叫ぶ。
「これがカルボナーラだ!」と。
「フィオレンツァ」にて