「あなたいい肌艶してるわねえ」
「 あなたこそ、てかてかよ」
「 さすがこの道50年の名焼き師だわ」
「 ほうら、皮はパリパリで、肉はしっとりよ」
「 ちょっと見てごらん。人間どもが早く齧りたくてウズウズしてるわ」
「 一人一羽頼んで、カットしないなんて、私たちの魅力をわかってるわ」
「 あっ一人が、いまわたしの体に触れて、あちちって、手を引っ込めた」
「ダメねえ。この日のために鍛えてくれなきゃ」
「いやん。私足もぎられた」
「きれいなもぎり方ね。足先の骨から齧って、モモ肉にかじりついてるわね。足先の美味しいことも知ってるなんて、こういう人間に食べられたい」
「この人きっと、首皮も頭もバリバリ食べてくれそう」
「間違いない。それでこそ焼鳩冥利につきるというものよ」

赤坂璃宮銀座店にて