筍ご飯は好きですか?

食べ歩き ,

筍ご飯は好きですか?
はい。大好きです。
姫皮を炊き込んだのが一番だと思うけど、細かく切った太い部分を炊き込んだやつも捨てがたい。
しかし、この食べ方が一番ではないかな?
最初に出される木の芽を自ら手を合わせて、パンッと叩き、香りを高め、ご飯を待つ。
薄味で炊き込んだご飯が出される。
ご飯の上にたっぷりと木の芽をのせるのである。
食べる。
木の芽の風が、口を、喉を吹き抜けていく。
その陰から、炊き込みご飯の旨味と、米の甘みが顔を出す。
凛々しい香りと優しい味わいが出会い、春の喜びを感じさせながら、口の中で舞う。
続いて、醤油を塗って焼いた筍をご飯に乗せる。
筍をガリッと齧る。
焼けた醤油の香ばしさの中から、切ない甘みが滲み出る。
そこですかさず、ご飯を掻き込む。
目をつぶれば竹林の中にいた。
春風が竹の葉を揺すり、山椒の香りが漂う。
「はははっは」。
大声で笑う。
大地と自分が繋がった幸せに、笑う。
「大夢」にて。