優美な時間が流れている。

食べ歩き ,

豆部部長伊藤くん、この料理はなんとしても食べなくてはいけません。
自由が丘「mondo」の「甘鯛と白インゲン豆のプロード」です。
メニュー名を見て、甘鯛と豆のスープを合わせるなんて、素敵だなあと思いました。
しかし想像とはまったく違うものが運ばれたのです。
半透明の白いスープに甘鯛は浮かんでいますが、豆がどこにも見当たらないのです。
しかし飲めば、いんげん豆の優しさが甘みに姿を変えて、舌を喉を撫でて、体中に染み渡っていきます。
甘鯛は、蒸したのでしょうか?
肝心な皮下のぬめりが、ぬるんと甘く溶けていく。
そして不思議なことに、そこにはなぜか熟れたうまみかあって、甘鯛の色気を膨らます。
そんな色気とインゲン豆の穏やかさが、嬉しそうに舞うではありませんか。
思わず言葉が止まりました。
それほどここには、優美な時間が流れている。
聞けば、白インゲンのブロードは、豆を茹でて柔らかくなったら塩、ローズマリーを加え、落ち着かせたら上澄みだけをとってスープにしているとのこと。
萩の甘鯛のほうは、塩をしてから、パプリカ、きゅうり、オクラ、セロリなどを糠漬けにしてトマトとミキサーで回した物を冷凍して、冷蔵庫で3日位かけてゆっくり解凍してエキスだけ取った糠漬けエキスをかけて蒸していいるとのこと。
また仕上げに、白インゲン豆一粒と24ヶ月のパルマハム(1mmの角切り)3粒、ブロードを張ってその上に蒸した甘鯛、甘鯛にはアサリのブロードをギリギリまで詰めたモノを一滴かけだそうです。
ううむ。
完全にやられました。