「煮込み料理とズッパが大好きなんです」
溝口シェフは、そう嬉しそうに笑われた。
コースには必ず、前菜の後にスープがある。
しかも常時3種類ほど用意されている。
こんなイタリア料理店は、そうはない。
だか、これこそがイタリア食堂ではないだろうか。
散々悩んで決めたのは、「ヨータ」という北イタリアのスープだった。
「ヨータ」とは、スープという意味だという。
自家製のスペック(燻製生ハム)を炒め、鳥のブロードを入れ、茹でたじゃがいもと自家製ザワークラウトを入れ煮込んで注ぎ、紫キャベツを乗せて完成である。
いたって簡単ながら、しみじみとうまい。
一口飲んだ瞬間、「ああ」と歓喜の嗚咽が漏れ、続いて「はぁ〜おいし」という言葉が、自然と口を突く。
優しい鳥の出汁に、じゃがいもの甘み、スペックの香りとコク、そしてザワークラウトの酸味が丸く溶け合って、舌を包み込む。
叶うことなら毎朝飲みたい。
あっちゃん作って。
「セジール」の全料理は、タベアルキストクラブにて。