魚団子と書かれた白い団子は、白玉だった。
いや白玉ではない。羽二重のような滑らかな口当たりともっちりとした食感は、明らかに白玉だが、白玉にはない優しい甘みがある。
魚団子に似せた豆の団子である。
大豆と白豆の二種類の豆乳に、エンドウ豆との片栗粉(根っこの粉)と少量のハスのでんぷんを加えて固めたものだという。
そのはかなく穏やかな味わいに、ふうっと体の力が抜ける。
添えられたキヌガサ茸は、明らかに脇役で主役の優しさを盛り立てる。
そしてスープは、滋味が丸く、奥深い。
一切動物性の出汁を使っていないとは、信じられないコクである。
大豆モヤシに、マッシュルーム、白豆と花豆、それにいくつかの乾燥茸を混ぜて作られた出汁だという。
「はあ~」。飲むたびに充足のため息が漏れる。
体の隅々に、ゆっくりと滋養がいきわたっていく。
主張しすぎないうま味が舌の上でほどけ、細胞に染みていく瞬間に、深い滋味となる。
誰かが言った。
「この魚団子スープをおいしく飲むために、体を弱らせたい」。
新橋「趙揚」 「精進豆宴席」の一品「茸蓀魚园湯」。
魚団子と書かれた白い団子は、白玉だった
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