石川さんの料理は、いい意味で軽やかだと思う

日記 ,

石川さんの料理は、いい意味で軽やかだと思う。
ご本人同様、飄々として。決して『どうだあ』とか、「三つ星でございます」という意識が、料理から感じられない。
気楽に楽しんでくださいねと、言われて心を軽くする。
そんな気配がありながら、食材の質とその引き出し方が確かなので、味の芯がぶれずに濃い。
例えばこの、「毛ガニの土佐酢あんかけ」である。
特に珍しい料理ではなく、さりげない。
しかし口にしてみると、カニの味が濃く甘い。
それに合わせるように土佐酢をしっかりぶつけ、食べていくと味噌の味も膨らんでいく。
酒がすすむ。
ご飯の前に、「すっぽんの煮物」が出され、このタイミングでは少し強いのではと思ったが、すっぽん出汁のひきかたが極めてきれいで、後口が濁らない。
うま味の余韻だけを残してご飯へ向かうのである

神楽坂「石かわ」の全料理は別コラムで