鮨さいとうの魅力の一つか、車海老ではないだろうか。
海老は、堅くもなく柔らかくもなく、ここ一点というしなやかさに心を留めて茹でられ、噛んだ瞬間から魅せられていく。
歯は、その繊細な肉体を感じ取って震え、舌は優しい甘みとミソの小さなうま味を受けて唸り、鼻には、淡い、甘やかな香りが漂って、微笑む。
やがて米の甘みと、すっきりとした赤酢のコクが、海老と舞い踊り、心を弾ませる。
一口で食べられる大きさもいい。
この時期にこのサイズて、これほどの甘味と香りを持つ海老も素晴らしい。
そしてなによりも、目を凝らしながらうまくなれと3匹ずつ茹でられ、心を込めて握られた味は、なにものにも変えがたい。