フランス料理がずいぶん身近になってきた。
バブル崩壊後、 廉価な定食を提供するフランス料理店が次々と増え、いまでは昼定食を700円から用意している店まである。
ただし安いといってもその質は、さまざま。
どうせ食べるなら、安価の中で考えうる最良の食材を使い、工夫を重ねた昼定食が食べたい。
そんな願いをかなえる、極めて上質な昼定食に出逢えるのが、「ル・マンジュ・トゥー」 である。
昼定食” 1500円は、 前菜、 主菜(魚か肉料理を選択)、デザート、飲み物の構成。
その内容は、驚くほど密度が高い。
ある日の前菜 “豚肉のテリーヌは、豚脂の甘みやレバーのコクが一体となった練り肉の旨みと、しのばせた果物のコンフィズ(砂糖煮) の甘みが共鳴した、うっとりとする味わい。
またある日は、 思わず笑みがこぽれる、にんじんの甘みが見事に抽出されたスープ。
主菜では、 トロトロに煮込まれた甘いキャベツを下に敷き、 黒オリーブやアンチョビの香りをほのかにきかせたジューシーな “仔羊の背肉のロースト”や、 ドライフルーツの甘酸っぱさをきかせたソースで煮込み、 きのこの香りを添えた“スペアリブの煮込み”が登場する。
あるいは片側をカリッと香ばしく焼き上げながら、中はしっとりと火を通した レンコ鯛のポワレ”など、 毎日、 魅力あふれる料理が待ち構えている。
香り高いデザートにいたるまで、どの皿も食材の持ち味が見事に昇華し、 生き生きとしている。
そんな料理を、 ガラス張りの室内に差し込む穏やかな陽光に包まれながら、 ゆるりといただく。
1500円で得られる、 この上なく贅沢なひとときである。
