〈青森の朝は、日本一濃い〉No2
朝ラーメンで驚いている場合ではなかった。
弘前には、なんと朝ホルモンがあるという。
朝からホルモン、焼肉ですかあ？
そんな人種が、いるのですかぁ？
ということで、これも検証すべく、車を走らせる。
田んぼの真ん中に一軒、「けんちゃんホルモン」は建っていた
メニューは、豚ホルモン、豚さがり、牛カルビ、牛バラ、ご飯、ラーメン以上。
これで充分でしょうというラインナップが、潔い。
気分はまだ懐疑的だが、食べ始めたら、ドーパミンが放出し、加速がついた。
箸が止まりません。
「朝からホルモン食べれるかって、思っていましたが、意外にいけますね」。
同行していた33歳女子かいう。
「もうこれはビールだぁ」と、朝ビール乾杯。
肉食べ、オンザライスにし、肉巻きにし、ビールをあおる。
あっさりした極細縮れ麺のラーメンをすする。
豚ホルモンに一味をどっさりかける。
ご飯にキムチ乗せ、片面だけタレをつけた牛バラを乗せて巻いて食べる。
ああ、ご飯がうまい。
それもそのはず、ご飯は、店主けんちゃん自らが、趣味で作っているという米の炊き立てである。
「ご飯いくらでもあっから食べてって」と、うれしそう。
「なんで朝からやってるんですか？」と聞けば、「早朝からタバコ買いに来る人がいて、5時に開けてたんだけど、肉も食べたいという人がいて、朝からやり始めた」。
「でも朝6時に来て焼き肉食う人が来るんだよね」と、あなたが始めたからでしょうが。
「夜は」と聞けば、
「6時までに入ってくれれば、いくらでも飲みは付き合うよ」。
一緒に飲みたいんかい。
ああ愉快。
「こんなアクティブな朝を過ごしたことはない」。33歳女子はそう言って、嬉しそうに笑った。
その言葉こそが、今朝の幸せのすべてだった。