近所に住んでいる人が、つくづく羨ましくなるすし屋である。
味噌と酒粕に3週間漬けたという鮑肝は、雑味なく、肝の滋養だけが凝縮していて、わずか4g程度なのに、酒をぐいぐいと飲ませる
3か月漬けたという、茶ぶり赤海鼠の酢漬けは、酢と出汁の味わいが広がった後、噛みしめていくと、このわたに通じるナマコのうま味が膨らんで、もう盃を重ねるしかない。
その他白身魚のアラと貝でとったスープ、蒸し鮑、マコガレイの刺身と肝醤油、鱧の卵の塩辛、穴子の肝の鰹だし煮、卵の黄身の味噌漬け、新いくら等々、次々と繰り出されるあてに、酒の抑えが効かない。
「明日また酒を仕込まなくてはいけませんね」というくらい飲んでしまった。
さて、幸せが満ちたところで握りと行こう。
古い仕事を施したという鮎は、味がしなやかで締め具合がよく、しみじみとうまい。おぼろをかませたシャコ、品のいい脂がしっとりとのったアジやイワシ、づけやカスゴ、シンコ、ウニ、穴子、煮蛤。
特別に頼んだ鰯生姜の細巻も鉄火も干瓢もいい仕事。
金ちゃんこと、恩納村出身の金城さん、ますますいい仕事しているじゃないですか。いいなあ君の笑顔は。
また金ちゃんの、人のよさそうな、正直な、照れているような、子供のような笑顔に合いにまた来るからね。
ああ、近所に住んでいたらなあ。
「なかのや」。
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