豆大福が苦手である。
元々甘い豆と塩気がある豆が同居しているという点に、居心地の悪さを感じていた。
あんこ、塩豆、餅という三者の違う食感に、無理やり感も感じてしまう。
重いあんこと餅の強さ、それに硬い豆というそれぞれの主張に、どうも馴染めなかった。
しかしこれは違う。
造り酒屋の仕込み水を使っているという餅は、むっちり、びょょんと伸びるが、どこまでも軽やかで、水気を含んでいるような涼しさがある、
そしてあんこは、優しく、甘い。
あんこもまたみずみずしく、ぽてっと舌に乗るが、さらりと消えていく。
後には、糖の甘さだけなく豆の甘い香りを残す。
そして塩豆である。
グッと、顎に力を入れて、ようやく歯が迎えられる。
豆自体の尊厳があって、それがこの菓子の品位を、毅然と際立てている。
塩豆、餅、あんこ。
それぞれが自身の良さを発揮しながら、互いを引き立てるために存在している姿が美しい。
これが豆大福なのか。
そんな豆大福を、樹々を抜ける風と香りを吸い込みながらいただく。
軽井沢「まめ」にて。