脂が生きていた 2014.10.08 食べ歩き , 東京 , とんかつ Tweet 脂が生きていた。 噛もうとすると、くりっと身よじらせ、歯がぐっぐっと入っていく。 そこには脂が柔らかい、という発想はない。 歯応えがある脂なのである。 しかし、このように存在感があり、たくましくもきめ細かい脂なのに、二回噛めば、消えてしまう。 甘い香りだけを残して、消えてしまう。 ボクは、この脂に塩をかけて、手でつまんで食べた。 歯がぐっぐっと入り、その抵抗に喜びながら噛み込んでいく。 すると塩によってさらに甘みを増した脂が、舌の上で大笑いをしながら溶けていった。