背筋がピンと伸ばされた。
全てにおいて真っ当で、淀みのない味が、寝ぼけた体と胃袋を揺り動かす。
島根のアジの干物。
大量に干物も作っているが、その中でサイズがバラバラで、脂がのっているものだけ、特別な干物にするのだという。
手開きで、陽に当てる時間など個体に合わせて干したものだという。
食べれば余分な水分が抜け、うまみが凝縮しているのに、しっとりとしている。
干物にありがちな、干からび感が少なく、生きていたころの溌剌がある。
小さい体なのに、脂がぐんとのって
噛みしめたい干物は、
炭火でふわりと持ち味を生かされ、素晴らしい器にのり、
小鉢と、光り輝く炊き立てご飯、しみじみとおいしい味噌汁を従え、自慢げだ。
干物屋の熱情と、西麻布「くおうｓ」のご主人の実直が生んだ、真っ当な朝食。
これを食べて、背を正されなかったら、人間やり直し。

ｐｓ
福井のハタハタの醤油漬けも、うまかったなあ。